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直突きの考え方
人間教育に主眼を置く武道では、「礼に始まり礼に終わる」と言われる様に
礼儀作法をもって精神面での修行とし、この事は日本拳法でも例外ではありません。 一方の技術面においては、日本拳法の場合「突きに始まり突きに終わる」と 言われています。 突く事は単純で簡単な技術と思われがちですが、普段の生活の中で拳(こぶし)を 真っ直ぐに突くような事がほとんどはなく、せいぜい叩いたり振りまわすぐらいしか して来ていない者にとって、目標にむかって敏速に真っ直ぐに、如何に強い拳で的確に 突くかがなかなか出来ず、当面の課題となります。しかし、突く事は修練によって 確実に身につけることが出来、最も有効度の高い当身技となります。 <後拳直突き> 日本拳法は、主として蹴りの間合いで戦うため、遠い距離から後拳を目標に向かって 早く正確に突く為には、肘がしまる側拳(手の甲部を横にする)の直突きが有効ですが、 突き方によっては伏拳(手の甲部を上にする)に比較すると若干撃力が劣ります。 しかし、側拳も、腰の捻りや肩の回転によって突きにスピードを加えたり、突いた瞬時に 前足をしっかり固定し、拳を元の構えの位置に引く事により突きに切れを生じさせたりと、 練習次第で勝るとも劣らない様にする事が出来ます。特に相手の顔面部は腹部と違い 上下左右に動くので、体重を乗せた重い波動突き(伏拳)よりも、スピードと切れのある 側拳での直突きのほうが相手の顔面部に命中し易く、当たった時のダメージが大きい点 からも、側拳は顔面部攻撃に大変有効な直突技と言えます。 但し、腹部攻撃は後ろ波動突き(伏拳)が適しており、特に下半身を若干下に落として 歩幅を広めにする事で安定感を生じさせ、突いた拳に十分に体重を乗せる事で強い 撃力が生まれます。 <前拳直突き> 現代ボクシングの発祥の地イギリスでは、「左は世界を制す」と言う言葉がありますが、 日本拳法においても又然り、前拳は攻防に不可欠であり、その利点は下記の如くと なります。 1、前拳は、目標に一番近く、素早く正確な突きが可能である。 2、前拳は、相手の攻撃を阻止しやすい。 3、前拳は、誘い技(後ろ拳への誘導)に通じる。 4、前拳は、相手の防御力を読む事が出来る。 5、前拳は、攻撃の主導権を握るのに有効である。 6、前拳は、突いた時にバランスが崩れにくい。 このように、前拳が非常に重要であるにもかかわらず、大会において前拳を有効に 突く選手は少ないように感じます。構えが悪く前拳を下げて死に手になっている選手も 多く、前拳を有効に活用出来ないのは当たり前の事です。 拳法は「拳の法」であり、拳の変化に多様な技が組み込まれており、いかにそれぞれの 拳を有効に使うかによって勝敗が決するのです。
by dohi-column
| 2007-09-30 00:07
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