日本拳法連盟 青葉拳友会
by dohi-column
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目線について

 「目は口ほどに物を言い」と諺にも云う通り、役者が映画や芝居の中で役を
演じる時、役者の見る目の位置(いわゆる目線)は、役を表現する上で大変に
大事な要素の一つと云えます。

 日本拳法や他の格闘技においては、目線を目付けと呼んでいますが、この
コラムでは目線と表現します。形演武をする時、演武者の目線や眼光によって、
形の出来不出来に大きな影響が出ます。特に一人形は、構え方や突き蹴り等、
基本に則って正しい動きが出来ていても、目の置き所によっては形に大切な
メリハリ等の出来映えに差が生じます。

 合気道の名人と呼ばれている先生の演武を見ると、相手からの攻撃に対して
自ら体捌きをする時、瞬間的に目線を躱す方向に置き換えることにより体捌きが
敏速になり、技が決まるのです。この目線をうまく用いる事も名人の一つの技と
言えます。

 日本拳法で相手と対峙している時、最も有効な目線の位置を考えてみますと、
顎を中心とした胸の上部が一番相手の全体像が良く見える場所です。しかし、
大半の人は相手の目を直視しています。特に強者や体が比較的大きく威圧を
感じる相手と対戦し、相手の目を直視すると、蛇ににらまれた蛙の如く体が
動きにくくなり、相手の突き攻撃が見えていても打たれたりする事があります。
このような相手に対しては、なるべく相手の目を見ず、いたずらに特定の箇所を
直視せず、顎や胸の上部付近をおぼろげながら見る事で全体像が掴め、萎縮
することなく自らの動作がとりやくなります。

 私事になりますが、私の身長は166cmと今の若者からすると低い方ですが、
その私が背の高い者と空乱稽古(防具を装着せず相手を当たる寸前で止める)を
する時、相手の顔面部に対して直突きで突こうとすると、どうしても重心が必要
以上に上へ伸びて安定感が損なわれます。そこで、目線は相手の顔面部ではなく
腹部まで下げ、その目線のままで稽古をし、顔面部に対する攻撃も目線を変えずに
直突きします。そうする事で下半身の安定を保つ事が出来、組技の攻防にも適し、
更には身体バランスが保たれて、相手の動きも察知しやすくなります。

 皆さんからすると、目線をそんなに落とすと相手がこちらの顔面部に対して
突きなどの攻撃をしてきた時、防御するのに相手の拳が見にくいのではないかと
疑問を持たれる事と思いますが、実際にやってみると意外と分るものです。その
理由とは、相手が攻撃する時には一歩踏み込んで来る為、脚の動きがよく見えて
判断がつきやすく、更に相手が蹴り技以外の攻撃であれば、突くか打つ事しかない
ので想像がつきやすく、その場に応じて受けたり捌いたりと防御が出来るのです。
但し相手の動きを見過ぎてから身体を動かすと、動きが若干遅れるので素早い
タイミングが必要となります。

 ボクシングなどで、相手の攻撃パンチを次々と瞬時に躱す選手を見ていると、
目が良いなと感心するときがありますが、これは選手の視力が良いとか相手を良く
見ていると云う事ではなく、全体像が見える目線で相手のあらゆる動きを瞬時に
読み取り、瞬間的に躱す身体能力が身についているから出来る事なのです。   
日本拳法の選手の中には大変に視力の弱い者がいますが、実際の防具稽古を見ると、
目の良い者より無駄な動きがなく、寧ろ鋭敏と云えます。このような選手は、長い
期間をかけて何回も繰り返し稽古をし、その豊富な経験の中から想像力や勘を養い、
結果として相手の動きがよく見える様になるのです。

 皆さんも視力の良い悪いにかかわらず努力して、戦いの中での目を養い、特に
目線に重きを置いて、目線をどこに置くべきか、又、目線を変えることにより
どのように技やバランスが変化するか、稽古で試して見て下さい。
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by dohi-column | 2007-07-31 00:00
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